伊と忠GINZAで11月27日〜12月7日まで開かれている「きものこもの展」に行ってきました。
5人の作り手(下川宏道:ジュエリー、山下枝梨子:織り、長井陽子;金属、松原智仁;金属小川郁子:江戸切り子 )による帯留め、根付け、手織り布、切り子の器など、着物だけにこだわらない暮らしを彩るものたちも含めたこものの展覧会です。
下川さんは、お店のお客様で今回のご案内をいただきました。私は、着物は1年に一度着るかどうかと言う程度で、殆ど着ないのですが、そう言う者にとっても展示されたこものは愛らしく楽しめるものでした。江戸切り子の小川さんとは江東区界隈の話で盛り上がりました。錦糸町に昔あったガラスの会社はもう今はないとか清澄白河に小山登美夫ギャラリーが出来たとか、おいしいピザ屋があるとか。お客様がいらっしゃらないのをいいことにお騒がせしました。
伊と忠GINZAの目の前は、以前は銀座第一ホテルがあり、その昔30年近く前にはそこでアルバイトをしたことがあるととても懐かしく思い出しました。今は三井ガーデンホテルになって、すっかり変わってしまい面影はありませんでしたが。

建築家の堀部さんから「三鷹の家の引き渡しがあるのですが、いらっしゃしませんか?」とお電話がありました。三鷹の家のお施主様は、お店にも何度かお見えになって顔見知りと言うこともありうかがうことにしました。場所はあまり詳しく言うと特定できてしまうのですが、玉川上水が一望できるロケーションは申し分ないところです。そのロケーションを生かした窓の切り取り方は一目で堀部さんとわかるものです。
堀部さんのお仕事のオープンハウスは、以前10年以上前に「秋谷の家」にお伺いして以来です。
そもそも、私が堀部さんに出会ったのは堀部さんの最初の「南の家」を雑誌で見たときです。そのころ、中古住宅を購入していて改修工事をと思って建築雑誌を何冊も見て建築家を探していました。その「南の家」からは音楽や詩がきこえてくるような詩情が漂っていました。もともと私は建築家の白井 晟一氏が好きと言うこともあり堀部さんの名前は初めて見ましたが、何の迷いもなく「現代の白井 晟一だ、この人にしよう」と連絡をとったのでした。その頃は、独立して間もなくで堀部さんも今のような忙しさは信じられないくらいにお時間はあったと思います。ご一緒に林芙美子邸を見に行ったり、ずいぶんとお話もしました。
改築工事をしていただき、その後、増築工事、そしてお店の改築工事とお願いしました。
お店の改築をお願いするときに「何度もお仕事をお願いしたけれど、最初からお家を建てる事はできなかったわね」と言うと、すかさず「別荘を待っていますから」と返されてしまい、全く実現する可能性もないのですが、いつか叶ったら嬉しい限りでと夢を抱いています・・・
堀部さんの設計したお家やお店に暮らしてみると、時をへて美しくなるもののよさや奇をてらっていないからこそ暮らしやすいということを感じます。また、「天井は低くてもバランスが大事」とか「北向きの光は美しい」「広さは最小限でいい」と巷でよく言われているような常識を覆すことが多いのに驚きます。
お店をオープンして以来、堀部さんのファンが全国からお見えになります。一日のうちで堀部さん目当てでいらっしゃる方たち、建築を志している学生、同じ建築業界のかた、お仕事を頼もうとしているお施主さま、建築好きの人が必ずいるというのにこちらがむしろ驚いています。「堀部さんってどんな方ですか?」「どうして堀部さんと知り合ったんですか?」「どうしたら堀部さんにお願いできますか?」皆さん堀部さんに関する質問ばかりです。
久しぶりにお会いした堀部さん。いつも通りにお若いですが、いいお仕事を積み重ねてきたことからか円熟味を増した感じを受けました。
来年の秋か冬には作り手たちだけでなく建築関係の方たちも含めて「HOUSE展」を考えていて、ご一緒出来ればというお話をしました。「ぜひ」と仰っていただいたのでお店にいらしゃる堀部ファンの方たちのご期待にも添いたいと思っています。

ガラス作家の扇田克也さんの個展が日本橋の「ぎゃらりーこちゅうきょ」で22日まで開かれており、初日にうかがいました。
彼の作品は、石膏の型の中でガラスを溶かして作るキャスト技法を用い、原形をシンプルに表現し、表面はサンドブレストで仕上げたざらっとした質感で光を意識して作られています。今回は大きさも色もさまざまな「HOUSE」、余分なデザインをそぎ落としたガラスの塊と言った「b.e」(beyond expression)、扇田さんの作品としては珍しくエロティックな印象を受ける「AURA」等々。また、、水が溜まりその中に光が通る「IHARIKI」や景色の重なり、風景・景色という意味で色片を重ねた無色のガラスの四角い塊の「SCENERY」が新作として出品されています。
この色々なシリーズを作り出していく扇田さんの作品の最大の魅力はその技法というよりも物語を感じさせ、詩情が漂うものとなっていることだと私は思っています。
今回は、何度か展覧会の前にお電話する機会がありましたし、会場でもお話ししたのですが、作品が出来るまでに色々と葛藤もあったらしく、精気を吸い取られたというような事も話していました。お会いするといつも飄々としているので意外な印象でした。
また、今回は会場の設営が先日ご紹介した上野雄次氏です。工事現場を思わせる荒涼とした雰囲気がまた扇田さんのガラスなのに温もりのある作品と実にしっくりあっているのです。
私が扇田さんと出会ったのは、実は25年以上前のこと、彼がガラス学校で学んでいた時のアルバイト先だったのです。その時はどんなものを作っているのかも、どうしてガラスにひかれたのかなどということは話すこともなく、それから10年ほどたち、当時田園調布にあったギャラリー仲摩で作品を見かけて「あの扇田さんだ!」その時から彼の作品には詩情があり、とてもひかれていたのです。作品は見ていたけれど彼に再会したのは5年ほど前の事でした。その後、私がお店をひらくことになり、扇田さんにも取り扱いをお願いしたのです。扇田さんの作品は、殆どがオブジェで食器は以前は作ったこともあるらしいのですが今はつくっていないようです。食器ではありませんがHOUSEシリーズは大小と常時展示していますのでご覧ください。



花活けをなさっている上野雄次さんが、三宿にあるIID 世田谷ものづくり学校で行われている「SOSEKI展」に作品をだしているとのことでうかがいました。今回は、漱石の夢十夜執筆100周年を記念しての企画で、「我が輩は猫である」から「明暗」までの作品を色々なアーティストが自分のフィルターを通してヴイジュアルに変換して漱石の魅力に迫っています。
上野さんは「虞美人草」をとりあげていました。「虞美人草」は読んだことがないのですが、タイトルを表示したコンクリートと錆びた鉄の針金だけで十分作品となっているかと思えました。実は、その後ろの古い机の中に乾いた花びらと珊瑚がエロティックに置かれていました。改めて、漱石はこんなに有名なのに恥ずかしながら私は「我が輩は猫である」「こころ」「草枕」位しか読んだことがなく、「虞美人草」も読んでみようと思いました。
ところで、会場となったIID 世田谷ものづくり学校とは、
2004年3月で統廃合となった世田谷区立池尻中学校を再生する次世代モデルの廃校跡地再生プロジェクトとして2004年10月にスタートしたそうです。
近くに世田谷公園もあって、渋谷にも近くて暮らしやすそうなのに廃校になってしまうのだなと少子化を現実感をともなって感じました。
施設の名前は「IKEJIRI INSTITUTE OF DESIGN世田谷ものづくり学校」。
施設内には、ギャラリーや試写室、工房のほかパブリックスペースを併設し、働きながら学べるプロスクールやデザインベースの立体的なプログラムが実施されています。
“INSTITUTE”という言葉が持つ、さまざまな知識や体験を有機的に結びつけ、新しい価値を生み出すという意味のように、IIDは「学ぶ」「遊ぶ」「働く」ことが1つにつながる今までにない新しいタイプのコミュニティということだそうです。
もう1つの注目は、子供から大人まで誰もが参加できるワークショップの数々。
講師にはIID入居者をはじめとした各分野で活躍するプロのクリエーターを迎え、木のぬくもりに触れる木工教室からデジタル映像制作まで、多岐にわたるデザイン要素を含むプログラムが用意されています。以前、息子と何かのワークショップに参加しようとしたことがあるのを思い出しました。
写真のピンクの花は、私の大好きなひめつるそばで一面絨毯のように咲き乱れていたのが印象的でした。

基本的に、食事はお魚とお野菜とお豆腐などの豆類があればよく、肉類も内臓系は好きですが他は特に食べなくてもいい。さらに羊を食べるというのは本当にたまに、年に1回あるかないかという感じなのですが、先月から今月にかけて2回もいただく機会がありました。
1回目は、阿佐ヶ谷にあるそば懐石の店「みやの」で主人が主催した「ラムの会」で、冷凍していない生のラムをイスラムと日本の料理法で食べようというもので、以前も同様の会をして好評だったらしくその2度目。人数が足りないと言うことで急遽私もかり出されて、知り合いまでお誘いしてしまいました。
ラムの種類は、青森で飼育されているサホーク種という黒羊だそうです。これは、日本でも最も多く飼育されているとのこと。羊毛用に明治頃に輸入されて、今では食用となっているそう。その、朝落としたばかりの内臓を業者が新幹線に乗って持ってきてくださったのです。
生の内臓をオリーブオイルとお塩とおしょうゆでいただきました。臭みは全くないのですがほのかな草の香りが羊を思わせます。ワインやオリーブオイルもイスラムと言うことでレバノン産をいただきました。写真は内臓のサラダです。全体を通すと生肉攻めという感はありましたが、たたきやひよこ豆とのトマト煮、みそ漬け丼等もあり、ライムのお茶もイスラムをおもわせさっぱりしておいしく満足しました。生の羊もさることながら、フランスやイスラム圏など海外で生活していた方たちがそこで羊を食べるようになって、日本に帰っても恋しくなって食べたくなると言うお話など興味深かったです。
そして2回目は数日後、阿佐ヶ谷の線路の南側に1番街という、夜になると活況を呈する通りがあります。そこにあるイスラム料理のお店「JAME JAM(ジャーメジャム)」に行きました。イラン出身のマスターが9月に展示した犬丸さんの展覧会に来てくださり知り合いになりました。日本人より敬語が上手と言うくらい丁寧な日本語を話されるので、こちらが恥ずかしくなります。そしていつも笑顔をたたえていて穏やかで人柄の良さを感じます。
3000円のコースをいただきました。前菜3種(ヨーグルトから作るチーズと、焼きなすのペーストが美味)・おなかに優しい麦のスープ・チキンとマトンのキャバブ・ケイメベレンジというマトンのトマト煮とイランの白米・かぼちゃとさつまいものデザート・カルダモン入りのコーヒーはくせになりそう、と以上でしたがやはり肉のボリュームがあるので、私には多すぎるほどでした。
土曜日にはベリーダンスタイムもあるそうですので、ご興味ある方はいらしてください。
ラムのサラダ(ラムの会)

串焼き、マトンのキャバブと鶏の串焼き(ジャーメ・ジャム)
