土偶展と熊谷幸治さん

国立博物館で開かれていた「土偶展」の最終日に行ってきました。門を入ると長い行列と「40分待ち」のプラカート。やっと入った会場には、それぞれのブースにすがるように群がる何重にもの人だかり。そんなに、みんな土偶に吸い寄せられるの?全部を見るのは無理と諦めて、たまたま人がいなくなったタイミングにきっちり対面して見られたのは、「ハートの顔の土偶」「中空の土偶」「祈る土偶」「」。ただ作りたくて作っているその作為のなさにひかれます。ただ、あまりの人いきれにぐったりして、会場を後にしました。

浅草橋のルーサイトギャラリーで熊谷幸治さんの個展をしていたことを思い出し、上野からは意外に近いとそちらにまわりました。ここは、以前にも大江憲一さんの個展でうかがったことがあるのですが、以前は市丸さんという元芸者さんで小唄の歌手だったからのご自宅だったそうで、とても風情のある日本家屋。こんなところに自由に入れていただけることに感謝です。熊谷さんの作品は、少しだけ、西荻窪の「ブリキ星」で拝見したことがあるのですが、個展は初めて。
会場には熊谷さんがいらっしゃって、お話しもしました。「僕が勝手に名付けているんですが、僕はいわゆる普通の家庭に育って『土欠乏症』だったんです。大学に入って、陶芸の作品を作るので、土をさわってすごいひかれていって、土にのめりこんでいったんです。でも釉薬をかけて出てきたものは、自分の思っていたものと違って、土の塊、土そのものが好きなんです。僕が思うに、今の人たちもみんな土を欲していると思うんです。それで、その土をみんなに届けたいと思って、そしてそのためにはどういう形にしたら一番みんなが手に取りやすいのか、受け取ってくれるのかを模索しているところなんです」と、熱く語って下さいました。彼の話を聞きながら、あんなに土偶展に人が群がっていたのは、その土への思いからなのかと、なんだか合点がいきました。
熊谷さんはその土への思いから土器にこだわって作っています。ただ、その中でも、無釉焼〆のいわゆる土器らしいものから、「これが土器?」と言うような蜜蝋仕上げで光沢のあるものまで、色々なタイプのものがありました。それと、マスクも原初的で出色です。その中で私は、真っ黒い平皿とマスクをいただきました。この黒い平皿は磨き上げた後にひっかき傷をつけていて、コンテンポラリーアートの作品のようです。平皿も含めて光沢のあるタイプは、土を土団子のようにぴかぴかしてそれを焼いて、蜜蝋で仕上げているそうです。
土団子は、私の子供の頃にも、息子も保育園でぴかぴかの土団子をつっくっていたのですが、私のまわりにいる20代〜30代の知人たちは「作った記憶がない」と言うのです。だから、土欠乏症なのかもしれないですね。熊谷さんにはまさに、土の伝道者となるべく土の魅力を伝えてほしいと願いました。

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雛の飾り菓子とお雛様

お客様が酒田(山形県)の小松屋というお菓子屋さんから取り寄せたという飾り菓子を「ふたり暮らしなので、こちらで皆さんに見ていただいた方が」とお持ち下さいました。ひとつひとつ丁寧に和紙にくるまれていたものをほどき、赤い毛氈に見立てた布の上に飾りました。
酒田は、その昔北前船が往復する中継地として栄え、本間美術館は雛人形のコレクションとしても有名です。酒田の町では、一昔前まで、春一番の吹く頃に子供たちは菓子と白酒をもらいながら家々の門をくぐるという、「雛巡り」というしきたりがあったそうです。この飾り菓子も昨年に予約を受け、今年の正月から2月までかかって、型起こしから、自然乾燥を経て彩色と手間暇かけてつくられているようです。枕草子にも「小さきものはいとおかし」と書かれたことを思い出すようなかわいさです。

お菓子をいただいたので、急いで私のお雛様を出しました。これは、昨年亡くなられてしまった人形作家の鐸木能子さんの作品の室町雛です。衣装に使われている古い布が見事です。先生は、次郎左右衛門雛という丸いお顔がお好きだったので、とても愛らしいお顔をしています。
3月3日を過ぎてもしばらく飾っておくつもりですので、お時間ありましたらぜひご覧になりにいらしてください。

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文楽

学生時代は頻繁に通っていた文楽ですが、昨年11月に久しぶりに見に行きました。そして、先日も。2月は昔から近松作品の上演、私の見たのは近松では有名な「曽根崎心中」です。今回の公演は、吉田簑助さんという人形遣いの文化功労者顕彰記念公演でもあります。学生時代に見ていた頃は、簑助さんもとても若かったし、吉田玉男さんや先代の桐竹勘十郎さんが中心でした。簑助さんは、病に倒れた時期もおありだったようですが、元気に復帰なさっているお姿は感慨深いです。

私は、歌舞伎は語れるほどの回数を見たわけではないのですが、歌舞伎より文楽の方がしっくりきます。もともと、文楽を見始めたのはどうしてかなと思い出していたら、桐竹紋十郎という人形遣いをモデルにした瀬戸内晴美の小説「恋川」がきっかけでした。その頃は近松の世話物にひかれていましたが、心中なんて他人事、というか、「今時そんな」というような心境だったと思いますが、今回改めて「曽根崎心中」を見ると、男女の仲は思いも寄らぬ展開があり、それは普遍的なのでは?と感じる私がいました。年を重ねたってことですかね。
「どうして、文楽の方がしっくりくるのかな?」と知人に話すと「谷崎の『蓼喰う虫』を読んで見たら」と勧められて読み始めています。答えが見つかるのでしょうか。

2月公演は21日までやっていますので、お時間とご興味ありましたら文楽に触れてみてはいかがでしょう。

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メヒカリの一夜干し

下働き一号です。今晩は。

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店主が干物ネットを持ってきてメヒカリの一夜干しを作りました。

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食べてみたら…とっても美味しい!

素揚げにして昨日のおそうざいでお出ししました。
また挑戦するとのこと。期待しましょう!

ozマガジン

現在発売中の「ozマガジン」。今月号は、カフェ特集で当店も掲載されています。

今回は「暮らすように楽しむカフェ」がテーマ。お客様に勧められたり、前から行きたいと思っていたお店や知り合いのお店もあり、かなりの数が取り上げられているので見応え十分です。読むだけで「暮らしのヒント」になることがあります。ぜひ、目を通してみてください。そして、気になったお店には足を運んでみてください。


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キリエコテン

青山のセレクトショップBLOSSOMにて開かれている、切り絵作家の小室千雪さんと江戸切子作家の小川郁子さんの二人展(2月14日まで)に行きました。

小川さんの作品は、当店でも少しだけ扱わせていただいています。中でも蓋モノは、伝統的な切子の手法を使いながらもとてもモダンなもので、お客様には人気があります。でも、いかんせんお値段もお安いものではないので「いつか買えたら」と憧れのものです。今回も蓋モノは、大きさも色合いも切子の技法も色々なバリエーションが出ていました。帯留めやペンダントトップは、天然石のように見えて小さいながらきらきら光っていました。小川さんも、麻の葉模様の落ち着いたお着物に、ご自身の帯留めをなさっていましたが、若々しくて素敵でした。

小室さんの作品は、初めて拝見しました。もともと、切り絵を習っていたわけではなく、一本の増太郎というメーカーのハサミを知人にいただき、切り始めたそうです。このハサミがフォルムやステンレスの色合いと言いとても美しいものでした。私も少しだけ切らせていただきました。切れ味はいいですが、手が進むということにはならず、小室さんに潜在していたものがそのハサミをきっかけに表に出てきたのだと思います。
「よくこんな細かいものが切れるな」と感心するような手仕事です。スノードームや万華鏡など、非日常の世界へ誘ってくれそうです。
ポストカードになっているものを何点かいただきました。会場では原画も販売していました。リップフラワーは、ちょっとエロティックでありながら上品さがありひかれました。


お着物姿がお似合いの小川さんと作品
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増太郎のハサミを手にする小室さんと作品
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今日明日は夜も営業!

こんにちは、下働き一号です。
扇田さんの個展「目覚め」にお越し頂いた皆様ありがとうございました。

さて、先月から始まりました、週末だけの夜の営業!
今週はお酒の種類も増える予定です。

お店の棚にも、酒器、揃っております。
みなさんどうぞお越し下さい。

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↓夜のメニューなどについては
こちらをご覧下さい

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