昔むかしのフランスの音ーフランスバロックのお話ー第2回「太陽王の作曲家」

<2月26日(日)当店にて開催予定のフランスバロック音楽のコンサート出演のフルート奏者相川郁子さんによるお話の2回目>


 今回は、フランスバロックを代表する作曲家、リュリのことを取り上げます。

 「王は踊る」という映画をご存知でしょうか。ルイ14世に仕えた作曲家リュリの伝記映画で、日本では2001年に公開されました。太陽の衣装をつけて全身を黄金色に飾った王が壮麗な舞台で踊るシーンや、絢爛豪華なオペラのシーンが印象的で、映像も音楽も大変美しいおすすめの映画です。(実は私にとっては、この映画でリュリの音楽に魅了されたことが、フランスバロック音楽との出会いとなりました。人生を変えた映画です!)
 このリュリという作曲家(Jean-Baptiste Lully, 1632‐1687)は、日本では一般に知られているとは言えませんが、ヨーロッパ音楽史上の偉大な作曲家の一人です。パリのオペラ・ガルニエのエントランスにも、大きなリュリ像があります。彼は王のお気に入りでした。この時代のフランスを象徴する作曲家であったと言えます。

「朕は国家なり」という言葉で有名な、フランスの絶対君主ルイ14世は「太陽王」を名乗り、また自らの起床から就寝までの生活のすべてを仰々しく儀式化して、その威光を高めた王様です。偉大なる王として君臨するための「演出」に欠かせないのが、リュリによるフランス流の音楽を伴うダンスだったのです。
当時のフランスの宮廷では、ダンスは単なる遊びでもたしなみでもなく、政治の一部でした。貴族たちも、踊りが下手では出世も見込めないというほどです。ルイ14世は踊るのが大変得意でしたし、ダンスは王の権力の「演出」にぴったりの芸術でもありました。音楽は音が彩る時間の流れを、舞踏は人が動き回る空間を司る芸術と言えますから、その両方が融合したダンス(バレと呼ばれました)の舞台の中心で王が踊ることは、「王は時間も空間も意のままに支配する」というイメージを作るのには最適なのです。太陽に扮した王の周囲で惑星の役の重臣が踊れば、見る者に「王を中心に世界が回る」と強く印象付けることもできます。

このようなわけで、政策としてダンスを重視した宮廷では、ダンス音楽を作ることに長けたリュリは国家の重要人物だったわけです。国が太陽王を中心に回っていたように、フランスの音楽界はリュリを中心に回っていました。当然、同時代やそれ以降のフランスの音楽家たちは、彼の影響を色濃く受けることになります。

「王は踊る(Le Roi Danse)」もリュリ(Lully)の音楽も、YouTubeで検索するとすぐに見つけることができると思います。良かったらちょっとご覧になってみてください。印象的な音楽です。新しい世界が広がるかもしれません。

Pinafore × andBake 二人展「あそびごころ」

アイシングクッキー,エプロン
アイシングクッキー,エプロン
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ただのエプロンではないPinafore
×
ただのクッキーではないandBake
二人展
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2016年11月25日(金)〜27日(日)11:00〜18:00

うちのお店では、もう最初の頃からのおつきあいのPinafore のエプロン、そのエプロンをアイシングクッキーを作るandBakeのMASUKOさんがお気に入りで使っていた、そのご縁から生まれた本展です。

3日間の短い期間に「あそびごころ」を凝縮して、ここにしかないものをお見せします。ご来店を心よりお待ちしております。

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