ルーシー・リィー  

東京ミッドタウン内にある21_21 DESIGN SIGHTで開催されている「U-Tsu-Wa うつわ」展へ行ってきました。これは、ルーシー・リィー(陶)、エルンスト・ガンペール(木)、ジェニファー・リー(陶)の三人のうつわを展示する企画展です。三宅一生さんのプロデュース、安藤忠雄さんの会場構成、杉浦康平さんのビジュアルディレクションによるものです。ルーシー・リィーは今や大変有名ですが、元々日本で最初の個展を1989年に企画して紹介したのは、三宅一生さんだそうです。今から20数年前に、ロンドンの書店で偶然手にとった陶磁器の本。それを見て心を動かされた彼は、さっそくルーシーの制作スタジオ兼自宅を訪ねることになりました。彼女の人柄と作品の数々に触れて、その時彼は「つくる、とはこういうものだ」と直観して心も身体もリフレッシュし、勇気づけられたそうです。そして、その夢も醒めきらないうちに、日本で「ルゥーシー・リィー展」を企画・実現し(1989年東京と大阪で開催)、大きな反響をよんだのだそうです。
一生さんは「日本人は無名な人には心動かされない人が多いが、まだ無名だった彼女に強くひかれた」と言うようなことを書かれていましたが、本当にその通りだと心に残りました。皮肉めいていますが、日本でここまで評価されるのは、一生さんに拠って有名になったことが大きいのではと思います。
今回は、安藤忠雄さんにより、白石の上にエルンスト・ガンペールの木の作品、水面の上にルーシー・リィーとジェニファー・リーの作品が点在して浮かぶように展示されています。ルーシー・リィーの作品は、細い針で掻き落としした器、シリコン炭化物を混ぜぼこぼこな表面に気泡が出た器、釉薬を溶け合わせたピンクの器など、素材感を感じるものが目立ちます。また戦時中に生活の為に作り続けたという陶のボタンも身近に見ることが出来ます。このボタンを見て、昨年出会った銀彩や楽焼きでアクセサリーを作っている作り手の山藤響子さんを思い出しました。山藤さんの作品も実際に洋服などに使ったらいいなと。他2名のエルンスト・ガンペールの器は倒木や流木を木工ろくろで成形し、曲線が出た作品。ジェニファー・リーは、土に金属酸化物を混ぜて、それを手びねりで成形し、表面を丹念に磨いたり削ったりした作品。3人のうつわに共通するのは曲線から作り出された形と素材感かなと思います。製作過程が壁面に映像として映し出されていて、作家を身近に感じられて面白かったです。
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私が、ルーシー・リィーを知ったのは多分25年くらい前に青山にあった「百味存」というお店のお料理を写した、「百味菜々」という料理写真集です。この中に「ルーシー・リィーに盛る」というページがあるのです。やはり、器は使ってこそだと思わせるものです。
ここは、野菜中心の精進料理のようなお食事を出すお店でしたが、大好きでした。一生さんもお見かけしたことがあります。内装もお料理も簡素でしたが、本質的で何よりとても美しかったです。そんなお店の形を目指しているというのはとてもおこがましいですが、お料理を出すお店としての原点というか、私にとっての理想のお店でした。なくなってしまったことが本当に残念です。

お店にございますので、ご興味あったらご覧ください
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2009/03/15(Sun) 00:56:51 | 日記
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