昔むかしのフランスの音ーフランスバロックのお話ー第4回「踊るフランス」

昔むかしのフランスの音−フランスバロックのお話− 第4回 「踊るフランス」
 
 前回は、太陽王ルイ14世の時代のフランスが、政策として自国流の音楽をいわばブランド化したというお話をしました。では、そのころのフランスの音楽は、どんなものだったのでしょうか。

 バロックの時代のフランス音楽を表すキィワードの最初にくるものは「舞曲」でしょう。王様お得意のダンスのための音楽がフランス音楽の典型であり、基本とされました。メヌエット、ガヴォット、サラバンド、ジーグ、アルマンド、シャコンヌ…。楽器を少しでも習ったことのある方なら、きっとこういった名前のついた曲を演奏した経験があると思います。それらはみんな、元をたどれば太陽王のころのフランス風の舞曲につながっているのです。(フランスの作曲家に限らず、例えばJ.S.バッハも、このような名前のついた曲をいくつも作曲しています。)

 ダンスには、それぞれの種類によって異なる、基本のステップやキャラクターがあります。当時の貴族たちは、みなそれらの型をマスターしていました(していなければなりませんでした!)。そしてダンスの伴奏のための舞曲も拍子や速さ、旋律やバスの動き方などが、踊りの種類ごとに決まっていました。軽快なものもあれば、ゆったりと優雅なものも、劇的なものもありました。そうした色とりどりのダンス音楽を花束のようにまとめたのが「組曲」と呼ばれている舞曲のセットです。何曲で1セットにまとめるという決まりがないのは、ソナタや協奏曲など「楽章」をまとめるセットの作り方とは違っています。

「ダンスが盛んだったから舞曲が多く作られた」というだけにとどまらないのが当時のフランスです。おもしろいのは、国内の音楽がこうした舞曲のスタイルのものにほぼ統一されたことです。実際には踊りをつけず、ただ楽器で演奏するためだけに作られる曲も、多くが組曲の形を取りました。そればかりか、歌であっても舞曲に特有のリズムや旋律を用いて作られることが多くありました。踊りの音楽こそがフランスの音楽である、そこから外れるものは認めない、というのが太陽王の方針だったのです。


フランスのバロック音楽の特徴のお話は次回に続きます。CDなどの音源や動画を探してみたくなった方もいらっしゃるかもしれませんので、ここでおすすめ作曲家の名前を少し挙げておこうと思います。

ジャン=バティスト・リュリ Jean-Baptiste Lully (1632-1687) 太陽王の作曲家といえば、この人!
マルカントワーヌ・シャルパンティエ Marc-Antoine Chalpentier (1643-1704) 親しみやすく美しい曲を多数作曲。
アンドレ・カンプラ André Campra (1660-1744) 歌のための作品(宗教曲とオペラ)で名高い作曲家。
ミシェル・ピニョレ・ドゥ・モンテクレール Michel Pignolet de Montéclair (1667-1737) 声楽にも器楽にも名作あり。
フランソワ・クープラン François Couperin (1668-1733) フランスバロックではもっとも有名?名曲多数!
ジャック=マルタン・オトテール Jacques-Martin Hotteterre (1674-1763) トラヴェルソ吹きとしては外せません。
ルイ=ニコラ・クレランボー Louis-Nicolas Clérambault (1676-1749) カンタータ(歌による短編朗読劇)の大家。

どの人の何の作品を聴いても、特に器楽の場合、だいたいのものが舞曲です。動画を検索すると、当時の踊り(バロックダンスと呼ばれます)がついたものが見つかるかもしれません。
2017/01/28(Sat) 23:44:24 | 日記
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